宿泊業界は、コロナ禍での外出自粛や水際対策の影響により、訪日外国人の数は、減少傾向にありました。
しかし近年では、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加に伴い、ホテルや旅館に求められるサービスの多様化が進んでいます。
これにより、日本の宿泊施設は、外国人観光客ののニーズに対応するためのインバウンド対策を強化する必要があります。
本記事では、ホテル・旅館が取り組むべきインバウンド対策を4つご紹介いたします。
1.多言語対応の強化
●ウェブサイトと予約システムの多言語化
多くの外国人観光客が宿泊施設を探す際、ウェブサイトで観光情報を収集します。
そのため、ウェブサイトを多言語化することは必須です。
英語、中国語、韓国語など、訪日客が多い国の言語に対応することで、施設へのアクセスが容易になります。
また、予約システムも多言語に対応していると、直接予約率を高めることができます。
●チェックイン・チェックアウト時の対応
現場での多言語対応も重要です。
外国人観光客にとって「スタッフとコミュニケーションが取れない」「伝わらない」ということは、旅行中のストレスや不安につながってしまいます。
フロントスタッフが英語を話せることはもちろん、他言語のスタッフや翻訳アプリを活用することも有効です。
また、チャックインやチェックアウト手続きに関する案内を多言語で提示することで、言語の壁による問題を解消し、快適に滞在ができることで宿泊客の満足度向上にもつながります。
さらに、電子チェックイン機能を導入すれば、言語を選択できるシステムを提供でき、利用者にとっての利便性が向上します。
これにより、スムーズなチェックイン体験を提供することが可能となります。
2.文化や宗教への配慮
●宗教的な配慮
外国人観光客の中には、宗教上の理由やライフスタイルにより、特定の食事制限や生活習慣を持つ方もいます。
例えば、ハラール対応の食事やヴィーガン、ベジタリアン向けのオプションを用意することで、宗教や個人的な価値観に基づくお客さまにも安心してご利用いただけます。
これらの対応を行なうことで、幅広い層の観光客に選ばれる施設となることができます。
また、食事についても、事前予約で対応可能な選択肢を提示することで安心感を与えられます。
●文化的な理解
各国の文化やマナーを理解し、それに基づいたサービスを提供することも重要です。
例えば、海外では一般的な「ベッドメイキングを毎日行わない」というエコフレンドリーなサービスを導入することも一案です。
文化的な背景に基づく細かな配慮が、顧客満足度の向上につながります。
また、外国人観光客が驚きや喜びを感じられるような日本ならではの体験を提供することも効果的です。
例えば、浴衣の貸し出しや茶道体験を用意することで、日本文化に触れる機会を提供できます。
3.SNSや口コミを活用したプロモーション
●SNSの活用
訪日観光客は、SNSを活用して旅行先や宿泊先の情報を収集することが一般的です。
InstagramやFacebook、TikTokなどのプラットフォームを活用して、施設の魅力を発信することが重要です。
特に、写真や動画を通じて施設の特徴・魅力をアピールすることで、多くのフォロワーを惹きつけることができます。
例えば、季節ごとのイベントや特別な装飾を紹介する投稿を行なうことで、観光客にリアルタイムの情報を提供できます。
また、投稿にはハッシュタグを活用して、ターゲットとなる観光客にリーチすることが大切です。
●口コミサイトの管理
TripAdvisorやGoogleの口コミは、宿泊施設の評価に大きな影響を与えます。
訪日観光客は、滞在中の体験やサービスの質について、SNSや旅行サイトなどを通じて口コミを世界中に拡散してくれます。
ですので、口コミサイトに定期的に目を通し、ポジティブなレビューには感謝のコメントを、ネガティブなレビューには誠実に対応することが大切です。
これにより、施設の信頼性を高めることができます。
また、口コミを元にサービス改善を行い、次の新たな訪問客にとってより良い体験を提供することができます。
こうした対応は、リピーターの獲得にもつながります。
4.快適な滞在環境の提供
●無料Wi-Fiの提供
訪日観光客が宿泊施設で快適に過ごせるように、無料Wi-Fiの提供は基本中の基本です。
外国人観光客は、日本での観光地や食事の予約をするために常にインターネットを使用します。
インターネット接続が良好であることは、多くの観光客にとって宿泊施設を選ぶ際の重要なポイントとなります。
さらに、Wi-Fiの速度や接続範囲を明示しておくことで、訪問前に安心感を与えられます。
また、ネット利用に関する簡単なマニュアルを客室に置いておくと、トラブルを防ぐことができます。
●客室の設備とアメニティ
外国人観光客は、「日本らしさを感じる」おもてなしや体験を期待しているため、設備やアメニティを整えることも重要です。
機能性に優れた設備や、国際規格の電源プラグ、清潔なタオルやベッドリネン、荷物置き場や広い部屋の提供なども、評価につながる要素となります。
さらに、アメニティの説明を多言語で用意し、使用方法や利用条件を明確にすることで、ストレスなく利用できる環境を提供できます。
地域限定のお土産を提供するなど、小さな心配りも好印象につながります。
まとめ
ホテルや旅館がインバウンド対策を強化することで、外国人観光客にとってより魅力的な宿泊先となります。
外国人観光客が求めているものは、日本を感じる体験をはじめ、日本の安全性や快適さ、そして最先端技術など、多岐にわたります。
【多言語対応】【文化・宗教への配慮】【SNSプロモーション】【快適な滞在環境の提供】といったポイントを押さえ、競争力のある宿泊施設を目指しましょう。
これらの対策を取り入れることで、単なる宿泊施設ではなく「もう一度訪れたい」と思ってもらえる特別な場所を作り出すことができます。
特に、これから訪日観光がさらに活発になる中で、適切な対応を行なうことが重要です。
ぜひ、これらの対策を取り入れて、インバウンド需要の取り込みを進めてください。